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犬猫の播種性血管内凝固症候群(DIC)とは?
様々な基礎疾患に合併して血液凝固系が亢進し、全身の微小血管内に微小血栓が多発して臓器障害がおこる病気です。血液凝固系が増加することで、出血の抑制に必要な血小板と凝固因子を使い果たしてしまい、過度な出血を起こすようになります。播種性血管内凝固症候群(DIC)を引き起こす病気として、悪性腫瘍や敗血症などが多いです。
血液凝固系とは〝血を止める機能〟です。
犬猫の播種性血管内凝固症候群(DIC)の原因は?
白血病、敗血症、固形がんなどの重大な病気に併発することが多いです。
犬猫の播種性血管内凝固症候群(DIC)の症状は?
出血症状と臓器症状(血栓性)の2つに分けられます。
出血症状
- 紫班
- 消化管出血(メレナ)
- 血尿
- その他出血
臓器症状(血栓性臓器症状)
- 脳障害
・発作
・麻痺
・意識障害 - 呼吸障害
・呼吸促迫
・呼吸困難 - 循環不全(心血管障害・腎不全)
・ショック
・乏尿
・無尿 - 肝障害 など
犬猫の播種性血管内凝固症候群(DIC)の診断は?
まずは播種性血管内凝固症候群(DIC)を起こし得る病気があること!
さにら以下の項目に4つ以上当てはまる場合にはDIC、2〜3個当てはまる場合をpre-DIC(DIC準備状態)と診断します。
DICの指標
- 血小板数の低下
- PTの延長
- APTTの延長
- Fibの低下
- FDPの高値
- AT活性の低下
獣医療ではDICの診断基準がしっかりと統一されていません。2017年には日本血栓止血学会では新基準としてTATが追加されています
犬猫の播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療は?
- 基礎疾患の治療
・これが最も重要 - 抗凝固療法
・ヘパリンなど - 補充療法
・全血輸血
・成分輸血 - 輸液
・循環不全の修正 - 合併症の予防(二次性敗血症の予防)
・酸素化
・酸塩基の補正
犬猫の播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療のみとおしは?
- DICになってからでは救命出来る可能性が低くなります。
- 出来るだけ早い段階で治療を開始する必要があります。
- 基礎疾患の治療が最優先です。
DICを起こす可能性がある場合には、早めにDIC治療を行うこともあります。
- 病気がみえる Vol.5 『DIC(播種性血管内凝固)』
- Small Animal Internal Medidine 2009
- 朝倉英策ほか,血栓止血誌, 2017