犬の免疫介在性溶血性貧血(IMHA) まとめ

犬の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)
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免疫介在性溶血性貧血(IMHA)とは?

溶血性貧血とは、何らかの原因により赤血球の破壊(溶血)が進み貧血を起こしてしまう病気の総称です。その中で、免疫の異常が原因で赤血球が破壊され貧血になってしまう病気を免疫介在性溶血性貧血(IMHA)と呼びます。他の病気(感染症、寄生虫性疾患、腫瘍、薬剤、不適合輸血)によって引き起こされる場合もあります(二次性IMHA)。

免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の発症は?

  • 好発犬種
    ・コッカー・スパニエル
    ・シー・ズー
    ・プードル
    ・マルチーズ
  • 中年齢での発症が多い
  • どの犬種・年齢でも発症する可能性がある

免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の症状は?

  • 元気・食欲の低下
  • 呼吸が早い
  • 疲れやすい・動くと息切れする
  • 歯ぐきや舌の色が白い(貧血)
  • 皮膚や白目が黄色(黄疸)
  • 尿が濃いオレンジ色や茶色(血色素尿・黄疸)

免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の診断は?

  • 血液検査
    ・再生性貧血
    ・自己凝集
    ・球状赤血球症
    ・直接クームス試験 (患者の30%は陰性を示す)
  • レントゲン検査
    ・IMHAを引き起こす別の病気がないかチェック
  • エコー検査
    ・IMHAを引き起こす別の病気がないかチェック
重大な合併症
  • 播種性血管内凝固症候群(DIC)
    全身の微小血管内に微小血栓が多発して臓器障害がおこる状態
  • 肺血栓塞栓症(PTE)
    血栓が血液の流れに乗って肺の動脈に運ばれ、そこを塞いでしまう状態
 

免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の治療は?

  • 免疫を抑える治療
    ・ステロイド薬
    ・免疫抑制薬(シクロスポリン・アザチオプリンなど)
  • 合併症を抑える薬
    ・抗血栓治療(DIC、PTEに対する治療)
     →ヘパリン、低用量アスピリンなど
  • 支持治療(生活の質を上げる治療)
    ・輸血
    ・酸素室

免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の治療のみとおしは?

  • 治療を行った場合でも約半分の犬で命にかかわる。
    肺血栓塞栓症(PTE)などの合併症が起きた場合には、突然死を起こすこともある。
  • 自身の免疫異常が関係しているので、治療がうまくいっても再発してしまう可能性がある。
  • 再発を起こさないよう、薬を徐々に減らしていく必要がある。
    重症例では半年〜1年間以上、薬を飲み続ける必要がある。
在宅緩和ケア専門動物病院「犬と猫の緩和ケア」
  • SA Medicine Vol.14 No.1 2012
    『免疫介在性溶血性貧血のインフォームドコンセントを行うために』
  • 『病気がみえる Vol.5 血液』
  • B.Husbands et al.ACVIM Forum 2004
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