犬と猫の血液検査 T-Cho(総コレステロール)

犬猫 コレステロール

犬猫では遺伝や体質、その他の病気によって引き起こされる高脂血症も多くあります。ちなみに、犬猫では高脂血症が原因で動脈硬化や心筋梗塞を起こすことは非常に稀といわれています。コレステロールには善玉(HDL)コレステロールと悪玉(LDL)コレステロールの2種類がありますが、犬猫のコレステロールは善玉(HDL)コレステロールが中心だからです。

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犬と猫のT-Cho(総コレステロール)とは?

コレステロールは主に細胞膜、性ホルモンや副腎皮質ホルモン、胆汁酸などの材料になる物質です。〝コレステロール〟と聞くと何となくマイナスなイメージを持たれることがありあますが、体の中で大切な役割を担っており、なくてはならない重要なものです。コレステロールにはHDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールの2つがあります。HDL(善玉コレステロール)は、血管にあるコレステロールを肝臓に戻す〝回収係〟をしています。LDL(悪玉コレステロール)は肝臓から全身の細胞にコレステロールを届ける〝運送係〟をしています。コレステロールが必要以上に増えてしまうと、過剰なコレステロールが血管(動脈)の中に入り込み、動脈硬化などを引き起こすことが知られています。犬猫では、ヒトのように高脂血症合併症として、動脈硬化や心筋梗塞を起こすことは非常にまれといわれています。犬猫のコレステロールはHDL(善玉)コレステロールが中心だからです。

犬と猫のT-Cho(総コレステロール)の正常値は?

  • 犬:120〜255mg/dl
  • 猫:90〜 200mg/dl

犬と猫のT-Cho(総コレステロール)が増加する場合は?

  • 特発性高脂血症
  • 食後
  • アーチファクト(検査上のエラー)
    ・高ビリルビン血症
    ・脂肪血症
  • 遺伝的要因(品種)
    ・シェルティー
    ・M.シュナウザー  など
  • 病気に続発する場合
    ・胆汁鬱滞性疾患
    ・糖尿病(犬の糖尿病猫の糖尿病
    副腎皮質機能亢進症
    甲状腺機能低下症
    ・ネフローゼ症候群
  • 薬剤
    ・コルチコステロイド
    ・サイアザイド系利尿剤

犬と猫のT-Cho(総コレステロール)が減少する場合は?

  • 肝機能障害
  • 消化不良/吸収不良
  • 蛋白漏出性腸症
  • 薬剤
    ・アザチオプリン
    ・経口アミノグリコシド
  • Alex Gough Differential Diagnosis In Small Animal Medicine
  • CAP セミナーシリーズ
    勤務獣医師のための臨床テクニック
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