犬の椎間板ヘルニアについて|症状がある椎間板ヘルニアは手術で改善できる?
椎間板ヘルニアは聞き馴染みのある病名かと思います。
今回は内科治療やリハビリでなかなか治らない胸腰部の椎間板ヘルニアの治療について詳しく解説していきます。
「愛犬がヘルニアだけど、内科治療だけでいいのかな?」
「片方の後ろ足が弱く、リハビリしてるけどなかなか治らない」
「麻酔や手術は怖くて踏ん切りがつかない」
という飼い主様はぜひ最後までお読みいただき、椎間板ヘルニアや治りが悪い場合の治療について理解を深めましょう。
犬の椎間板ヘルニアとは
犬の椎間板ヘルニアは背骨と背骨の間にあるクッションである椎間板が、脊髄を圧迫してしまうことで発生する病気です。
犬の椎間板ヘルニアは73%が胸腰部に発生し、残りは首で発生します。
胸腰部の椎間板ヘルニアの症状は
- 震え
- 背中の痛み
- 活動性の低下
- 背中を曲げた姿勢
- 後ろ足の歩様異常
などがあります。
ひどくなると末端の神経の麻痺がみられ、手足を強く触っても痛みを感じることができなくなります。
椎間板ヘルニアのグレード
胸腰部の椎間板ヘルニアにはグレードがあります。
このグレードは1〜5まであり、5になるほど重症です。
グレード1 | 背中の痛みのみで歩き方に異常はない |
グレード2 | 後ろ足を使って歩くことは可能だが、力が入りにくい |
グレード3 | 後ろ足を使って立てないが、痛みなどの感覚はある |
グレード4 | 左右の後ろ足の完全な麻痺(強い痛みには反応できる) |
グレード5 | 強い痛みにも反応しない |
グレードにより治療方法が異なるので、しっかりとグレードを分類することが重要です。
椎間板ヘルニアの治療
椎間板ヘルニアの治療は内科治療と外科治療に分かれます。
内科治療
内科治療は主にグレード1、2で選択される方法です。
内科治療には痛み止めの使用やケージ内での安静などがあります。
多くの犬はこの治療で改善しますが、中には症状が悪化したり、改善が限定的な犬もいます。
外科治療
外科治療は、手術で脊髄を圧迫している椎間板物質を除去します。
主にグレード3以上の犬に対して実施しますが、グレード1、2でも症状の継続や悪化がある場合は手術を検討します。
手術にはメリット・デメリットが存在します。
「手術ってなんだか不安…」と感じている飼い主様はぜひ読んでくださいね。
メリット
手術の最大のメリットは、痛みからの解放や運動機能の回復が見込まれることです。
グレード4での外科治療における改善率は80%とされています。
グレード5の犬でも歩行可能になる確率は43〜72%という報告があります。
内科治療のように安静期間を設ける必要がないため、長期の絶対安静で筋肉が弱くなることもありません。
デメリット
デメリットには
- 麻酔が必要
- 運動機能が戻らない可能性がある
- 再発する可能性がある
などが挙げられます。
特にダックスフンドの再発率は他犬種と比較して多いと言われています。
こういう時は手術をするべき?
グレード1あるいは2の椎間板ヘルニアと診断されたけど、日によって調子の波がある場合は内科治療で様子をみるべきでしょうか?
それとも手術を検討すべきでしょうか?
手術をおすすめする犬の条件を以下に挙げてみました。
- 痛みが強い
- 頻繁に痛がる
- 性格的にケージ内で安静にできない
- 2週間経っても症状の改善が見られない
- 症状が悪化している
これらの犬は内科治療で症状の改善を改善することが難しいため、手術が選択肢の一つとなります。
まとめ
今回は胸腰部の椎間板ヘルニアと、内科治療ではなかなか治らない場合の治療について解説しました。
多くの飼い主様は手術の際の麻酔が心配と思われているのではないでしょうか。
当院ではそんなご不安にも寄り添えるように、麻酔専門の獣医師により麻酔管理を行います。
以前実施した麻酔でトラブルがあった犬や、持病がある犬でも安全に手術ができるように心がけています。
椎間板ヘルニアについて手術を検討してみたい飼い主様は、ぜひ当院までご相談ください。