皮膚糸状菌症は皮膚糸状菌と呼ばれるカビの1種が感染する病気です。ペット同士の感染だけでなく、まれにヒトへも感染する人獣共通感染症です。
目次
犬猫の皮膚糸状菌症とは?
犬猫の皮膚糸状菌症とは、真菌(カビ)の糸状菌が感染して皮膚症状を引き起こす病気です。皮膚の赤みや脱毛などがよく見られます。皮膚の痒みは比較的軽度なことが多いです。原因となる糸状菌は何種類かあります。その中には人に感染するもの(人獣共通感染症)もあるので、注意が必要です。
犬猫の皮膚糸状菌症の原因は?
皮膚糸状菌の感染が原因
- 犬に感染する主な皮膚糸状菌
・Microsprum canis(約70%)
・Microsprum gypeum(約20%)
・Trichophyton metagrophytes - 猫に感染する主な皮膚糸状菌
・Microsporum.canis(約90%)
犬猫の皮膚糸状菌症の発症は?
- 幼若齢で多い
- 老齢で多い
- 免疫抑制剤や抗がん剤などを投与している
- 重篤な病気を持っている
健康な犬猫は感染することが少ないです。
免疫力が弱いときに感染しやすいと言われています。
感染経路
- 感染した犬猫同士の接触
- 土からの感染(穴を掘るなど)
- ハムスターやウサギなどからの感染
犬猫の皮膚糸状菌症の症状は?
- 脱毛
- 赤み
- フケ
- 丘疹(ブツブツ)
- 軽度の痒み(強い痒みはまれ)
脱毛・赤み
耳介の脱毛
症状が出やすい部位
- 足先
- 顔
体の末端部分に出やすい傾向があります。
普通は体の左右非対称に症状が出ます。
犬猫の皮膚糸状菌症の診断(検査)は?
- ウッド灯検査(検出率は50%)
- 被毛検査(顕微鏡で観察)
- 真菌培養検査
犬猫の皮膚糸状菌症の治療は?
- 抗真菌薬の飲み薬
- 抗真菌薬の外用薬(軟膏やローション)
- 毛刈り
→皮膚を傷つけないように!
→毛のカットでもOK - 抗菌シャンプー
落ちた毛も感染力を保っています。
お部屋やエアコンなどの掃除も重要です。
犬猫の皮膚糸状菌症の治療の見通し(予後)は?
- 適切に治療できれば2〜3ヶ月で完治
- 再発を防ぐため、症状が消えてからも1ヶ月程度は治療を継続
- 感染動物の毛やフケが残っていると、再発のリスクとなる
犬猫の皮膚糸状菌症の予防法は?
- 感染した動物との隔離
- 徹底的な掃除
- 感染動物を触れた場合には、よく手洗いをする
- 感染経路を特定する
→庭で穴掘りをしている
→野良猫との接触 など