猫の多発性嚢胞腎 まとめ

『嚢胞』とは液体を貯める袋状のデキモノです。この嚢胞が腎臓にたくさんできる病気を多発性腎嚢胞といいます。

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猫の多発性嚢胞腎とは?

腎臓に多数の嚢胞が発生する遺伝性の病気です。
ペルシャ系の長毛種、スコティッシュフォールド、アメリカンショートヘアなどに多く、短毛雑種猫でも発症することがあります。
無症状の期間も長く、他の病気の検査や健康診断などで偶然見つかるケースが多いです。進行すると慢性腎不全となる病気で、できるだけ早く発見して、適切な治療をしていくことが大切です。

猫の多発性嚢胞腎の原因は?

  • 遺伝性
    ・PKD1の遺伝性異変(常染色体優勢遺伝)
    ・片方の親がこの遺伝子を持っている場合、子に50%の割合で病気が現れる

猫の多発性嚢胞腎の発症は?

  • ペルシャやペルシャ系の長毛種で好発
  • ペルシャ系以外では長毛種でも報告がある
  • 最近では短毛種でも報告がある
    →スコテッィシュフォールドアメリカンショートヘア、短毛雑種猫 など

猫の多発性嚢胞腎の症状は?

  • 初期は無症状
  • 進行すると腎不全を発症
  • 症状は慢性腎不全の症状

慢性腎不全の症状は以下です

  • 体重減少
  • 食欲不振
  • 多飲多尿
  • 削痩
  • 脱水
  • 嘔吐
  • 非再生性貧血

猫の多発性嚢胞腎の診断(検査)は?

  • エコー検査
    →腎臓に嚢胞形成、稀に肝臓や膵臓にも嚢胞
  • レントゲン検査
  • CT検査
  • 遺伝子検査(確定診断)

猫の多発性嚢胞腎の治療は?

  • 根本的な治療はない。症状に対する治療がメイン。
    →慢性腎不全に準じた治療
  • 遺伝性の病気なので繁殖させない
  • 嚢胞穿刺(嚢胞の水を抜く処置)
    ・感染のリスク
    ・持続的な血尿のリスク

嚢胞が大きくなり腎実質を圧迫することで腎機能低下を引き起こします。そのため針を刺して嚢胞内の液体を抜く治療が行われることもあります。しかし感染や血尿のリスクを伴います。

猫の多発性嚢胞腎の治療のみとおし(予後)は?

多発性嚢胞腎は長い経過をたどることが多く、次第に腎機能が低下して慢性腎不全へと進行していきます。
残念ながら嚢胞形成を止める根本的な解決方法はありません。慢性腎不全に準じた治療が行われます。
  • Small Animal Internal Medicine 4th
  • SA Medicine Vol.12 No.3 2010 『猫の多発性嚢胞腎』
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