うちの犬が膵外分泌不全と診断されました。
ご飯は食べるけど体重が増えないことを心配していました。
膵外分泌不全は膵臓から出る消化酵素が不足する病気です。
食べたご飯をうまく分解できなくなるため、体重が増えなかったり、下痢をすることが多いです。
Contents
犬猫の膵外分泌不全とは?
膵臓には大きく2つの機能があります。
①消化液を分泌する外分泌機能
②ホルモン(インスリンやグルカゴン)を分泌する内分泌機能
膵外分泌不全では①消化液を分泌する外分泌機能が低下することで、消化吸収不良を引き起こします。
犬で比較的多く、猫での発生は少ないといわれています。
①消化液を分泌する外分泌機能
②ホルモン(インスリンやグルカゴン)を分泌する内分泌機能
膵外分泌不全では①消化液を分泌する外分泌機能が低下することで、消化吸収不良を引き起こします。
犬で比較的多く、猫での発生は少ないといわれています。

膵臓で分泌される主な消化酵素
- アミラーゼ(糖質を分解)
- トリプシン、キモトリプシン(たんぱく質を分解)
- リパーゼ(脂肪を分解)
- 内因子(コバラミン吸収に必須)
脂肪を分解する酵素のリパーゼはほとんどが膵臓から出ています。
なので、膵外分泌不全では脂肪の消化不良や体重減少が主な症状になります。
犬猫の膵外分泌不全の原因は?
- 犬では膵腺房細胞の萎縮
👉遺伝的要因(ジャーマン・シェパード) - 慢性膵炎の末期
- 膵臓の腫瘍
- 十二指腸の胃酸過多 など
犬猫の膵外分泌不全の発症は?
- 犬で多い
- 猫ではまれ
- 遺伝性の場合
👉若齢で発症
👉ジャーマン・シェパードなど - 慢性膵炎末期に続発する場合
👉中〜高年齢で発症
👉猫の好発品種は知られていない
👉犬ではキャバリア、コリー、イングリッシュ・コッカーなど
犬猫の膵外分泌不全の症状は?
- 体重減少・削痩
- 慢性的な下痢・軟便
- 脂肪便(白っぽい便)
- 食欲増加
- 食糞
- 慢性的脂漏性皮膚症
同時に発症しやすい病気
- 糖尿病
- 炎症性腸疾患
- 小腸内細菌過剰増殖(SIBO)
犬猫の膵外分泌不全の診断(検査)は?
- 血液検査
👉血中TLIの測定
👉コバラミン測定 - 糞便検査
TLIが最も信頼性の高い検査です。
膵外分泌不全ではTLIは低下します。
犬猫の膵外分泌不全の治療は?
- 膵酵素剤の補給
- コバラミン投与(筋肉注射)
- 抗菌薬
👉小腸内細菌過剰増殖を併発する確率が高いため - 消化性のよい食餌
- その他関連する病気のコントロール
👉慢性膵炎
👉炎症性腸疾患
👉糖尿病 など
膵酵素剤は基本的に生涯飲み続けていく必要があります。
膵酵素剤は胃内の酸で失活しやすいので、効果がいまいちの場合には酵素剤の量を増やしたり、胃酸の分泌を抑える薬を併用します。
CMでよく見る〝ガスター10〟なども胃酸の分泌を抑えるお薬です。
犬猫の膵外分泌不全の治療の見通し(予後)は?
基本的に予後は良好です。
適切にコントロール出来れば、寿命に影響しないといわれています。
ただし、糖尿病を併発しやすいので、他の関連する病気と合わせて定期的なチェックが必要です。
適切にコントロール出来れば、寿命に影響しないといわれています。
ただし、糖尿病を併発しやすいので、他の関連する病気と合わせて定期的なチェックが必要です。
- Small Animal Gastroenterology
- Small Animal Internal Medicine 4th