犬の「てんかん発作」と「てんかん」|特発性・症候性・潜在性についてそれぞれ解説

犬のてんかんまとめ

発作には〝てんかん発作〟と〝非てんかん発作〟の2つがあります。そのうち〝てんかん発作〟を繰り返す脳の病気を『てんかん』と呼びます。これらの用語はどれも似ていて複雑ですが、違いを意識すると病気の理解に役立ちます。

目次

その発作はてんかん発作?

発作とは病気あるいはその症状が突然発症して、多くが短時間で消えるものと定義されています。発作には様々な原因があり、以下のように分けられます。

①てんかん発作
②それ以外の発作(非てんかん発作)

非てんかん発作
  • 心臓発作
  • 疼痛発作
  • 代謝異常
  • 失神・虚脱
  • ナルコレプシー など

犬の『てんかん発作』と『てんかん』とは?

  1. 『てんかん発作』
    ・症状名
    ・色々な原因によって脳(大脳)の神経細胞が過剰に興奮して起こる発作症状
  2. 『てんかん』
    ・病名
    ・繰り返しのてんかん発作を起こす脳の病気

なんとなく聞き流しているこの2つの言葉の違いを意識すると、病気のことが分かってきます。

『てんかん』は『てんかん発作』を繰り返し起こす病気です。

中毒や低血糖などの一時的な病気で1回だけの『てんかん発作』を起こすものは『てんかん』とは言いません。

てんかん 原因による分類

  1. 特発性てんかん
    ・てんかん発作を起こす原因が見られない場合
    ・体質あるいは遺伝的な要因が関わっている
  2. 症候性てんかん
    ・脳の器質的な病変が原因でてんかん発作が起こす場合
    ・脳の先天性奇形、脳の腫瘍、脳の外傷、脳血管障害、脳炎などが原因となる
  3. 潜在性てんかん
    ・脳の器質的な病変から起こる発作と考えられるけど、その器質的な病変を明らかにできない場合

〝器質的病変〟とはMRI検査などで目にみえて分かる病気です。
代表的なものは『脳腫瘍』です。

『特発性てんかん』と『症候性てんかん』の割合は、犬で約半々といわれています。

脳以外の病気によるてんかん発作

脳の病変以外にもてんかん発作を引き起こすことがあります。この場合『反応性てんかん発作』と呼ばれます。脳の機能が一時的に障害された時に起こる、正常な脳の反応です。

反応性てんかん発作を起こす場合
  • 代謝性
    ・低血糖
    ・肝性脳症
     →門脈体循環シャント(PSS)など
    ・腎不全
    ・電解質異常
  • 栄養性
    ・チアミン欠乏症など
  • 中毒
    ・エチレングリコール
    ・鉛 など

てんかん発作の検査では、まずは血液検査にて脳以外の病気がないかをチェックしていきます。

在宅緩和ケア専門動物病院「犬と猫の緩和ケア」
目次