猫が鼻腔内腫瘍になり、
「鼻がズビズビしてかわいそう」
「食欲が落ちてきてしまった」
「開口呼吸をしていて苦しそう」
と感じる飼い主様もいらっしゃるかと思います。
今回は猫が鼻腔内腫瘍になったときの、ご家庭でできる緩和ケアについて解説していきます。

ぜひ、最後までお読みいただき、鼻腔内腫瘍の緩和ケアのご参考にしてください。
猫の鼻腔内腫瘍とは
鼻腔内腫瘍とは、鼻腔(鼻の奥にある空気の通り道)や副鼻腔(鼻腔の周りにある小さな空洞)にできる腫瘍です。
猫ではリンパ腫が最も多く、特に高齢の猫に多くみられます。
猫の鼻腔内腫瘍は鼻水やくしゃみが初期症状としてあらわれることも多くあります。
そのため、鼻炎だと思っていたら実は腫瘍だったというケースも少なくありません。
鼻腔内腫瘍が進行していくと、
- 鼻づまり
- 鼻血
- 顔の腫れ
- 呼吸困難
などの症状が現れます。
鼻腔や副鼻腔は骨で囲まれており、腫瘍を綺麗に切除するのが困難な部位です。
また、腫瘍が見つかったときにはすでに奥深くまで広がっていることが多く、無理に手術するとリスクが高くなります。
以上のことから鼻腔内腫瘍の根治は難しく、緩和ケアにより生活の質を保つという選択肢もあります。


緩和ケア
鼻腔内腫瘍の猫の生活の質を保つために、ご家庭でできる緩和ケアがいくつかあります。
特に、
- 呼吸を楽にする
- 食欲を保つ
- 痛みを軽減する



以上について詳しく解説していきましょう。
呼吸を楽にする
鼻腔内腫瘍が進行すると、空気の通り道が狭くなり呼吸が苦しくなることがあります。
ご家庭でできる工夫で、少しでも呼吸を楽にしてあげましょう。
- 湿度を保つ
- ネブライザー(吸入療法)
- 鼻周りのケア
上記のようなことをすることで、呼吸が少し楽になるかもしれません。
湿度を保つ
鼻腔内腫瘍の猫が呼吸がしづらくなる原因は、鼻づまりや鼻汁の分泌が増えることです。
部屋の湿度が低いと鼻腔内の分泌物が乾燥で固まりやすくなり、呼吸がより苦しくなります。
そのため、湿度を40〜60%程度に保つことで鼻の奥の分泌物が柔らかくなり、呼吸がしやすくなりますね。
鼻の粘膜が乾燥で刺激されにくくなり、くしゃみや鼻汁も和らぐことがあります。
ネブライザー(吸入療法)
ネブライザーは、水蒸気や薬剤を微細な粒子にして鼻や喉に届ける装置です。
鼻腔内や副鼻腔に直接水分を届けて、固くなった鼻汁を柔らかくすることができます。
また、抗炎症薬や抗菌薬を吸入させることで、炎症や感染の悪化を防ぐことができます。
上記のように鼻腔や副鼻腔の通りを保つことで呼吸が楽になり、猫のストレスを軽減できるかもしれません。
ネブライザーはご家庭でも動物病院でも行うことができます。
ご家庭での使用を検討する場合は、動物病院に相談してみましょう。
鼻周りのケア
鼻腔内腫瘍の猫は鼻汁や鼻血が出やすく、鼻周りが汚れやすいです。
鼻の穴が、鼻汁や鼻血で固まったもので塞がれて、呼吸がしにくくなることもあります。
柔らかい濡れタオルやガーゼで鼻周りをこまめに綺麗にしてあげましょう。
鼻周りを清潔にしてあげることで、猫の不快感や呼吸のしづらさを軽減できます。
食欲を保つ
鼻腔内腫瘍があると、鼻づまりの影響で匂いが分かりにくくなり、食欲が落ちることがあります。
ウェットフードを温めて香りを立たせることで食欲を刺激してあげましょう。
柔らかくしたフードやペーストを少量ずつこまめに与えると、猫が食べてくれることがあります。
以上のように食事の工夫をしても食欲が落ちてしまう場合は、食欲増進剤や栄養補助食を使う方法もあります。



猫の食欲が落ちてきた時は、まずは動物病院に相談しましょう。
痛みを軽減する
鼻腔内腫瘍は、痛みを伴うことがあります。
痛みがあると猫の食欲が落ちたりストレスがかかったりして、生活の質が下がってしまいます。
鎮痛薬や抗炎症薬を使用したり、二次感染がある場合には抗菌薬を使用したりすることで、痛みを軽減できるかもしれません。
痛みの度合いや猫の状態によって必要な薬の種類は変わるので、きちんと動物病院で処方してもらいましょう。
まとめ


猫の鼻腔内腫瘍は完治が難しい病気です。
痛みや呼吸の管理、食事の補助をしてあげることで、猫の生活の質を保つことができます。
少しでも猫が快適に過ごせるようにしてあげましょう。
当院では、緩和ケアに力を入れております。



猫が安心して穏やかに過ごせるように、ぜひお気軽にご相談ください。











