犬の断脚手術とは|断脚した犬の生活はどうなるの?
犬の断脚手術は飼い主様にとって非常にショッキングなものだと思います。
犬が脚を失うということは、想像するのも辛いことでしょう。
しかし、時には犬の生活の質を向上させるために断脚手術が必要なこともあります。
いきなり動物病院で「断脚が必要です」と言われたら悲しいですよね…
この記事では、犬の断脚手術についてや、断脚をした後の生活などを詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の断脚手術について理解を深めましょう。
犬の断脚手術とは
「犬の断脚とは実際にはどのような手術なの?」
このような疑問をお持ちの飼い主様もいるのではないでしょうか?
断脚手術とは、犬の脚(前脚または後脚)の一部または全体を切除する手術です。
断脚手術は犬にとって身体的にも精神的にも大きな負担がかかるため、手術の適応をしっかり見極める必要がありますね。
犬の断脚手術が必要になるケースとは?
犬の断脚手術の1番の目的は痛みの軽減です。痛み以外にも、断脚手術によって生活の質の向上が得られる場合に実施されます。
ここでは犬の断脚手術の適応について解説していきます。
悪性腫瘍
悪性腫瘍は犬の断脚手術のもっとも一般的な理由です。
悪性腫瘍の中でも骨肉腫と呼ばれる骨に発生する悪性腫瘍が断脚手術の適応になることが多いですね。
骨肉腫は非常に悪性度が高く、四肢に発生しやすい腫瘍で、痛みを伴うため、断脚手術が選択されます。
その他の悪性腫瘍では軟部組織肉腫と呼ばれる腫瘍も断脚の対象となることがあります。
コントロールできない感染症
脚に発生した重度の感染症が、他の治療ではコントロールができない場合にも、断脚手術が適応されることがあります。
細菌感染などの感染症が重症化すると敗血症という全身性の感染に移行します。
脚が感染巣であった場合には、断脚手術をすることで感染の拡大を防ぐことができますね。
外傷や壊死
交通事故や重度の外傷により、骨が粉砕骨折を起こしたり、組織が壊死をしてしまった場合にも断脚手術が実施されます。
脚の血管や神経に大きな損傷を起こした場合には整復が不可能なことがあり、断脚手術によって犬の生活の質を高めることができます。
断脚をした後の犬の生活はどうなるの?
「断脚をしたら、犬は今まで通りの生活を送れるの?」
多くの飼い主様が抱く疑問でしょう。
断脚手術後、犬は3本脚での生活に適応する必要があります。
決して簡単なことではありませんが、ほとんどの犬は3本の脚をうまく使って歩けるようになります。
もちろん、年齢や健康状態などによって回復の速度や適応能力は異なるでしょう。
しかし、リハビリや飼い主様のサポートによって、多くの犬が手術前と変わらない生活を送ることができるようになります。
手術の前に悪性腫瘍などにより、強い痛みがあった場合は、痛みから解放されることで活動性が増すこともあります。
もしうまくいかないことがあってもサポートします
断脚をした犬の生活の質をあげるには
犬の断脚手術後の生活の質を向上させるためには、以下のポイントに注意することが重要です。
これにより、犬が快適に過ごし、回復を促進することができます。
安全で快適な居住空間の確保
- 滑りにくい床材
家の床などには犬が歩きやすいように、滑りにくいマットやカーペットを敷くとよいでしょう。転倒のリスクを減らし、犬が移動する際の負担を減らすことができます。 - 障害物の除去
家の中の障害物を取り除き、犬が自由に動けるスペースを確保します。特に階段や段差は避けるか、必要に応じてスロープなどを設置しましょう。
体力と筋力の維持
- 適度な運動
断脚手術後は徐々に運動量を増やしていくことが大切です。短時間の散歩から始めて、犬の体調に合わせて距離や時間を調節します。 - リハビリ
獣医師と相談しながら、水中トレッドミルや理学療法などのリハビリを取り入れることも重要です。
適度なリハビリを行うことで脚の筋力を維持できるでしょう。
飼い主様ができるサポート
- 食事やトイレの補助
食事は床に置いたままだと首や腰に負担がかかるため食べやすい高さに食器を置いてあげましょう。
トイレも移動が負担にならないよう、近くに設置しましょう。 - 犬とのスキンシップ
犬とのスキンシップの時間をしっかりと取ってあげることも大切です。
環境変化や身体的な制約によるストレスを軽減するために、スキンシップや遊びの時間を増やしましょう。
健康管理
- 定期的な健康チェック
獣医師による定期的な健康チェックを受けましょう。断脚手術後はさまざまなトラブルが起こることがあります。
こまめに健康チェックしてもらうことで異変に素早く気づくことができます。 - 栄養管理
断脚手術後はバランスの取れた食事管理も重要です。体重が増えてしまうと脚に負担がかかるので注意しましょう。
断脚手術をするとやらなければいけないことがたくさんありますね
まとめ
犬の断脚手術は飼い主様にとって非常に受け入れがたいものでしょう。
しかし、適応を見極めて手術を行うことで、犬の痛みなどを取り除き、生活の質を向上させることができます。犬は脚を失っても、適切な生活環境を整え、サポートをしてあげることで快適な生活を送れます。
当院では麻酔科を専門で担当する獣医師が麻酔管理を行っています。
「かかりつけの動物病院で麻酔が難しいと言われた」
「高齢で持病があるから断脚の手術をしたいけど麻酔が不安」
このような悩みをお持ちの飼い主様にも安心して麻酔下での手術を受けていただけます。
犬の断脚手術に関するお悩みをお持ちの飼い主様は当院までご相談ください。