メラノーマは犬で最も発生しやすい口腔内の悪性腫瘍です。
非常に悪性で、早期にリンパ節や肺への転移が多い腫瘍です。
犬の口腔内メラノーマについて解説していきます。
目次
犬の口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)とは?
口腔内に発生する黒色腫(メラノーマ)は悪性で、局所浸潤や転移率も非常に高い腫瘍です。犬の口腔内悪性腫瘍の中では、最も発生率が高い腫瘍です。
犬の口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)の発症は?
- 10歳以上の高齢犬で発生が多い
- 口腔粘膜の黒い品種に発生しやすい傾向
- 口唇、頬粘膜、歯肉での発生が多い
- (猫での発生はまれ)
犬の口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)の症状は?
- 口腔内の腫瘤
- 流涎
- 口臭
- 出血
- 潰瘍
- 食欲不振(固いフードを嫌がる) など
犬の口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)の診断は?
腫瘍の可能性を調べる検査
- 細胞診
- 組織生検による病理検査
👉確定診断
腫瘍の浸潤や転移があるか調べる検査
- リンパ節の針生検(細胞診)
- レントゲン検査
- エコー検査
- CT検査
犬の口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)の治療は?
- 外科手術(第1選択)
・2cm以上のマージンが取れる、かつ転移がない場合には根治的外科切除が適応となる - 放射線治療
- 抗がん剤
犬の口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)の治療のみとおしは?
- 局所浸潤や遠隔転移しやすい非常に悪性の腫瘍
特に肺への転移は最も多い死因 - 無治療の場合、生存期間中央値は約2ヶ月(65日)
- 外科切除だけの場合、生存期間中央値は約5ヶ月〜10ヶ月(150〜318日)、1年生存率が35%以下
- 外科切除+放射線治療で効果がより高い。
放射線治療を受けた犬の生存期間中央値は約7ヶ月〜1年(211〜363日)、1年生存率は36〜48%、2年生存率は21% - 化学療法(抗がん剤)の効果は低いことが多い
①腫瘍のサイズ
②臨床的ステージ
③初回治療でどれだけ局所のコントロールが出来たか
によって犬の口腔内メラノーマの予後は大きく変わってきます。
直径が2cm以上もしくはリンパ節転移がある犬では生存期間中央値が164日なのに対して、直径2cm以下の場合には511日との報告があります。
腫瘍の発生場所も予後に関係します。
下顎の先端方向(吻側)に腫瘍が出来た場合は、他の部位に比べて治療への反応が明らかに良いとの報告があります。
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