猫の甲状腺機能亢進症について|ご自宅でもできる緩和ケアについて獣医師が詳しく解説

外でご飯を食べる猫

猫の甲状腺機能亢進症について|ご自宅でもできる緩和ケアについて獣医師が詳しく解説

「愛猫が甲状腺機能亢進症と言われた」
「元気に見えるけど、どんなことに気をつけたら良いの?」
「通院しているけど、家でも何かできることはないかな」
以上のように思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
猫の甲状腺機能亢進症は、高齢の猫によく見られる、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気です。

今回は猫の甲状腺機能亢進症について解説し、ご自宅でできる緩和ケアについて詳しく紹介します。

ぜひ最後までお読みいただき、甲状腺機能亢進症の猫のサポートにお役立ていただければ幸いです。

目次

猫の甲状腺機能亢進症とは

猫の甲状腺機能機能亢進症とは、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが過剰になる病気です。
高齢の猫での発生が多く、10歳以上の猫の約10%が発症するとも言われています。
甲状腺機能亢進症になると、

  • 食欲増加
  • 体重減少
  • 性格の活発化

といった症状が見られます。
甲状腺機能亢進症の治療をせずに放置してしまうと、

  • 多尿
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 筋肉の衰弱
  • 心拍数の増加

なども引き起こされます。
上記の状態は、心臓や腎臓の病気などさまざまな合併症を起こしやすいため注意が必要です。
猫が食事をたくさん食べているのにどんどん痩せてしまう、ということがきっかけで甲状腺機能亢進症が見つかることも多いものです。

猫の様子に異変を感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。

猫の甲状腺機能亢進症の原因

猫の甲状腺機能亢進症の原因は、甲状腺が腫瘍化したり過形成を起こし、甲状腺ホルモンを過剰に分泌するようになることです。
なぜ甲状腺が腫瘍化や過形成を起こすのかについてはまだよくわかっていませんが、

  • 加齢
  • 生活環境
  • 遺伝的要因
  • 食事

などが関連している可能性があります。

猫の甲状腺機能亢進症の治療

こちらをみているキジトラ白猫

猫の甲状腺機能亢進症の治療には、

  • 抗甲状腺薬の内服
  • 甲状腺の摘出手術

があります。

抗甲状腺薬の内服

抗甲状腺薬とは、甲状腺ホルモンの分泌を抑える薬です。
猫の症状や甲状腺ホルモンの値を見ながら薬の量を調節し、甲状腺機能亢進症をコントロールしていきます。
合併症のない猫では、適切な量の薬の内服により、生活に支障のない程度まで症状を改善することが可能です。
ただし、病気を完治させることはできないため、生涯を通しての内服が必要です。

甲状腺の摘出手術

猫に合併症がなく、比較的健康な状態であれば、甲状腺の摘出手術を行うこともあります。
甲状腺を摘出すると、病気を完治できる可能性があります。
しかし、甲状腺機能亢進症は病気がわかった時にはすでに高齢であったり、合併症を引き起こしていることも多いものです。
手術を行うかどうかについては、獣医師とよく相談しましょう。

ご自宅でできる甲状腺機能亢進症の猫の緩和ケアについて

甲状腺機能亢進症の猫では、内服による治療を生涯続けることが多いため、ご自宅でのケアもとても重要です。
ご自宅でもできる緩和ケアには以下のようなものがあります。

  • 食事療法
  • 合併症の管理
  • 定期的な受診
  • 愛猫の観察

それぞれについて詳しく解説します。

食事療法

甲状腺機能亢進症の猫では、ヨウ素の量を制限した食事が有効です。
ヨウ素は甲状腺ホルモンを作る材料になるからですね。
ヨウ素を制限した療法食が販売されているので活用しましょう。
療法食を使用するときには、基本的に療法食以外の食べ物は避けることをおすすめします。
とくに魚介類や海藻類にはヨウ素を多く含むものがあるため、注意が必要です。

合併症の管理

甲状腺機能亢進症が進行していると、心臓や腎臓に負担がかかり、合併症を引き起こしていることがあります。
合併症は命に関わることもあるため、しっかりと管理することが重要です。
それぞれの病気にあった治療を受けましょう。

定期的な受診

定期的に受診し甲状腺ホルモンの値を調べることで、薬の量は適切であるかを確認します。
適切な量の薬を使用することが、病気のコントロールには必要です。
猫がすっかり元気になったように見えたとしても、定期的な受診は欠かさず行いましょう。

愛猫の観察

病気がコントロールできているかの判断には、甲状腺ホルモンの値だけでなく、猫の症状の変化を把握することも重要です。
愛猫の変化に1番気付いてあげられるのは、毎日を共にする飼い主さまですよね。
日頃から愛猫をよく観察していただき、少しでも普段と違うと感じたら、早めに受診してください。

まとめ

寝ているキジトラ白猫

いかがでしたでしょうか?

猫の甲状腺機能亢進症は、高齢の猫に比較的よく見られる病気です。
生涯付き合っていく病気となることも多いため、ご自宅でのケアがとても重要です。

今回ご紹介した緩和ケアをぜひご家庭でも取り入れてみてくださいね。

当院では往診に力を入れており、ご家庭でのホルモンの測定も可能です。
定期的な受診が難しい方や猫の甲状腺機能亢進症のことでご相談のある方は、お気軽に当院までご連絡ください。

在宅緩和ケア専門動物病院 犬と猫の緩和ケア
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