犬の乳腺腫瘍は早めに手術した方がいいの？｜乳腺腫瘍が自壊した場合の対応を解説
「犬の胸にしこりがあるけど、元気な場合は治療しなくて大丈夫なの？」
「犬の乳腺腫瘍は良性なら手術しなくていいの？」
「手術は体に負担がかかりそうだから、胸に腫瘍があるけどこのまま見守りたい」
このような心配をされている犬の飼い主様はいるのではないでしょうか？
乳腺腫瘍に対してどう治療するか悩まれている方は多いですね
この記事では犬の乳腺腫瘍を放置するとどうなるかや、腫瘍が自壊してしまった場合の対処法について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の乳腺腫瘍に対して適切な対応ができるようにしましょう。
犬の乳腺腫瘍とは
犬の乳腺腫瘍は、乳腺の組織が腫瘍化してしこりができる病気です。
一般的に、50%が良性で、50%が悪性とされていますね。特に中高齢のメス犬に多く見られ、避妊手術をしていない犬で発生しやすいです。
早期発見と適切な治療が重要で、しこりが小さいうちは手術で根治可能な場合が多いです。
乳腺腫瘍を放置するとどうなる？
犬の乳腺腫瘍が小さいからといって放置してしまう飼い主様もいるのではないでしょうか。
しかし、乳腺腫瘍を放置するとさまざまなリスクがあります。
- 悪性化の可能性
良性の乳腺腫瘍であっても、放置すると悪性に転化する可能性があります。
特に腫瘍が大きくなるとそのリスクが増します。 - 転移の危険性
悪性の乳腺腫瘍は、リンパ節や肺など他の臓器に転移することがあります。
特に3cm以上になると生存期間が短くなる傾向があり、5cm以上では極端に短縮します。 - 自壊と感染
腫瘍が大きくなると自壊し、出血や膿を伴うことがあります。これにより、痛みや感染症を引き起こす可能性があります。
乳腺腫瘍が進行すると、最終的には命にかかわる状態に至ることがあります。
特に肺への転移が起こると呼吸困難となり、命に関わるので注意が必要ですね。
最初は小さな乳腺腫瘍だったのに、いつの間にかとんでもない状況になっていることもあります
犬の乳腺腫瘍が自壊した時は手術が必要？
「乳腺腫瘍が大きくなり、自壊してしまった場合はどうすればいいの？」
このような疑問を持つ方も多いと思います。
自壊した乳腺腫瘍によって引き起こされる問題を解決するには、手術で腫瘍を取り除く必要があります。
手術によって得られるメリットは以下の通りです。
- 感染リスクの軽減
自壊した乳腺腫瘍は持続的に漿液が出たり、出血が起こるため、細菌感染が起こりやすいです。
感染が進行すると、強い臭いや痛みを伴うことがあります。手術によって感染源を取り除くことができます。 - 管理の負担軽減
自壊した腫瘍は持続的なケアが必要であり、飼い主様にとって大きな負担になります。
包帯での保護や軟膏の塗布など、日常的な管理が必要です。手術によって腫瘍を取り除くことで、この負担を軽減することができます。 - 犬の生活の質（QOL）の向上
自壊した腫瘍は犬にとっても不快であり、生活の質を低下させる要因となります。
手術によって腫瘍を取り除くことで、動物の生活の質を向上させることができます。
手術を行う際は全身麻酔が必要になります。
獣医師と手術のメリット・デメリットを話し合って犬にとって最適な治療を選びましょう。
自壊した乳腺腫瘍の手術とは
自壊した乳腺腫瘍に対しての第一選択は外科手術による摘出です。
犬の乳腺腫瘍の手術方法には以下のようなものがあります。
- 腫瘍のみの摘出
腫瘍のみを切除します。腫瘍が小さい場合に選択されます。 - 罹患乳腺の切除
腫瘍がある乳腺全体を切除します。 - 領域乳腺切除
第1〜3乳腺または第3〜5乳腺をまとめて切除します。 - 片側または両側乳腺全切除
再発防止のために、片側または両側のすべての乳腺を切除することがあります。
犬の乳腺は左右に5つずつあるので、自壊した乳腺だけでなく、他の乳腺も一緒に摘出することで再発の予防になりますね。
全ての腫瘍を切除することはできなくても自壊した乳腺腫瘍だけ切除するのもありですね。
自壊した乳腺腫瘍だけ切除するのであれば短時間の手術で終わることが多いです。
自壊した乳腺腫瘍の手術以外の対処法は？
自壊した乳腺腫瘍に対する治療は手術が選択されることが多いですが、持病がある犬などで全身麻酔をかけられない場合があります。
手術ができない犬には以下のような対処をしましょう。
- モーズ軟膏による緩和療法
モーズ軟膏は、塩化亜鉛を主成分とした組織固定剤で、自壊した腫瘍の出血や悪臭を緩和するために使用されます。
この治療は根本的な治療ではなく、生活の質を高めることを目的としています。 - 非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）
非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）は、炎症や痛みを軽減し、生活の質を改善するために使用されます。
これらの薬は、乳腺腫瘍に対して直接的な抑制効果を発揮することもあります。 - オゾン水による洗浄
自壊した乳腺腫瘍は感染を伴っていることが多いです。
オゾン水は細菌やウイルスを効果的に殺菌するため、傷口の洗浄や感染症の予防に利用されることがあります。
これらの対処によって自壊した乳腺腫瘍による痛みや炎症を抑えることができます。犬の生活の質を少しでも維持できるようにすることが大切ですね。
どうしても手術ができないような状況でも他にも方法はあります。
ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
犬の乳腺腫瘍は放置するとさまざまな症状を引き起こし、生活の質を低下させます。
乳腺腫瘍は早期診断・早期治療を行うことで完治を目指せる病気です。
日頃から犬とスキンシップを取り、体をよく触るようにしましょう。
早期に腫瘍を見つけ、治療を行うことで犬との幸せな時間をより長く過ごすことができるでしょう。
当院では麻酔科を専門で担当する獣医師が麻酔管理を行っています。
「かかりつけの動物病院で麻酔が難しいと言われた」
「高齢で持病があるから乳腺腫瘍の手術をしたいけど麻酔が不安」
このような悩みをお持ちの飼い主様にも安心して麻酔下での手術を受けていただけます。
犬の乳腺腫瘍に関してお悩みの方は当院までご相談ください。
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