マダニは公園や林などの草むらで動物が来るのを待っています。
ヒトにも重大な病原体を媒介するので、特に春〜秋にかけては予防が重要です。
目次
犬猫のマダニ症とは?
マダニは大型のダニで、動物の皮膚に寄生して吸血します。マダニ寄生は動物に皮膚炎、貧血、アレルギーを起こすことがあるほか、ヒトと動物にいくつかの病原体を媒介します。
犬猫のマダニ症の原因は?
- マダニの寄生
・吸血すると最大で大豆くらいの大きさになる
吸血前のマダニは約3mmととても小さく、気づかないうちに寄生していることがほとんどです。
犬猫のマダニ症の発症は?
- マダニは北海道から沖縄まで日本全国に生息
- ほとんどのマダニは公園、川原、森や林などの草むらで動物が来るのを待っている
- 日本では春から秋にかけて活動が活発になる
犬猫のマダニ症の症状は?
- 大量のマダニ寄生による貧血
- アレルギー
- 皮膚炎
- 病原体をヒトと動物に媒介
・犬のバベシア病
・ヒトと犬のライム病
・ヒトの日本紅斑熱
・重症熱性血小板減少症(SFTS) など
最近ではSFTS(重症熱性血小板減少症候群)というマダニ感染症が国内でも年々増加しています。2019年度の国内の人の感染者数は97人で、5人の死亡例も出ています。致死率も高く非常に危険な感染症です。犬猫にも感染します。
犬猫のマダニ症の診断は?
- 肉眼でチェック
・体表に寄生している場合には肉眼で見える
・吸血した成雌マダニは大豆大で、容易に発見できる
・若幼マダニは被毛に隠れて見つからないこともある
マダニが寄生しやすい部位
- 耳・耳の中
- 目のまわり
- 鼻のまわり
- 胸部
- おしり(肛門)まわり
- 内股
毛の薄い場所に寄生しやすいです。
犬猫のマダニ症の治療は?
- 被毛の上を歩いているマダニは、ブラッシングなどで容易に取り除ける
- すでに吸血を始めたマダニは、ピンセットや皮膚の小切開により取り除く
- 駆虫薬
無理にマダニを取るとマダニの顎の部分が皮膚内に残り皮膚炎を起こすことがあります。
犬猫のマダニ症の予防は?
- 散歩後には全身のチェック、ブラッシング
- 持続性マダニ駆除薬
・予防的にも用いる - 春〜秋にかけては、草むらなどのマダニが生息している場所には入らない
最近では、ノミ・ダニ、フィラリア、消化管寄生虫の予防が一度に出来るオールインワンの予防薬(治療薬)を使うケースが増えています。
投薬も一度に済み、とても便利ですが、やみくもにオールインワンにするのではなく、その子その子の生活に合わせて予防の対象を決めることも大切です。
持続性マダニ駆除薬にはたくさんの種類があります。
チュアブル錠タイプ、液剤を皮膚に垂らすタイプ、首輪型など様々です。
- Small Animal Medicine 4th
- 『マダニ症のインフォームドコンセントのために』SA Medicine Vol.16 No.1 2014