犬の外耳炎について｜悪化すると手術が必要になることも

犬が耳をしきりに掻いている姿を見たことはありませんか。
原因は、身近な耳の病気である外耳炎かもしれません。
外耳炎の多くは命には関わりませんが、長く続くと薬では治らなくなってしまいます。
犬を飼っているご家族の中には
「外耳炎ってどうしてなるの？」
「外耳炎ってどういった見た目をしているの？」
「外耳炎って薬で治らなければどうするの？」
といった疑問や心配事もあるかと思います。

そこで今回は犬の外耳炎について詳しくご説明します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の健康管理にお役立てください。

外耳炎とは

外耳炎とは外耳道という耳の入り口から鼓膜までの位置でおきる炎症のことをいいます。
炎症を起こす主な理由は細菌やマラセチアというカビの一種が増殖することです。
人間と比べて犬では外耳炎が起こりやすいと言われています。

犬の外耳炎が発症しやすい理由

人間の耳と違って犬の耳はさまざまな形をしています。
立ち耳の犬や、垂れ耳の犬がいたり、耳毛が多い犬や、少ない犬がいたりしますよね。
垂れ耳や耳毛の多さは、犬の耳の中に湿気を溜め込みやすくなります。
湿気の多い環境は外耳道にマラセチアというカビや細菌が繁殖するのに適した環境を作り出します。
犬の外耳道に構造的な問題があることが、人よりも外耳炎が発症しやすい理由になっていますね。

外耳炎の症状

外耳炎は犬にとってQOL（生活の質）を低下させるような症状がいくつかあります。
外耳炎の主な症状には

• 後ろ足で耳を掻く
• 頭を振る
• 耳が臭う
• 耳道の赤みや腫れ
• 膿まじりの分泌物
• かゆみや痛み
• 耳の変形

などが挙げられます。
進行すると耳の腫れや変形が戻らなくなったり、炎症が中耳まで広がって近くの神経にダメージを引き起こしてしまうこともあります。
犬が耳を痒がっていたら早めに動物病院に相談しましょう。

外耳炎の治療

外耳炎の治療には、内科治療と外科治療があります。
外科治療は内科治療で治癒が見込めない、慢性的な外耳炎に適応されます。

主な治療

外耳炎の主な内科治療には耳の中の洗浄と原因となるマラセチアや細菌の治療が挙げられます。
強い痒みや炎症にはステロイドの入った薬を使用する場合もありますね。　

一方、外耳炎の主な外科治療には

• 外側耳道切除
• 垂直耳道切除
• 全耳道切除

が挙げられます。
犬の外耳道は人と違って耳の入り口から鼓膜までまっすぐではありません。
入り口から一度折れ曲がって鼓膜まで到達します。
そのため犬の外耳道は部位によって垂直耳道と水平耳道に名前が分けられているのですね。
外耳炎の外科治療は外耳道のどこに炎症が起きているかで術式が変わってきます。
例えば外側耳道切除は水平耳道に主に病変がある場合、垂直耳道切除は垂直耳道に主に病変がある場合に適応されます。
また全耳道切除とは外耳道全体に病変が生じている場合に実施します。
それぞれ病変のある外耳道の部位をくり抜いて、くりぬいた後の組織を糸で縫い合わせて塞ぐ治療方法です。

外耳炎の手術が適応になるケース

適切な薬剤を使用しても長期間効果がみられない時や、石灰化や耳の腫れなど元には戻らない病変ができたケースには手術が適応になります。
犬を飼っているご家族にとって手術はできるだけ選びたくない治療方法なのではないでしょうか。
しかし、手術は内科治療で治らない犬にも完治が期待できる治療方法です。

もし、内科治療でなかなか治らない犬がいるご家族がいらっしゃったら、手術をご検討されてはいかがでしょうか。

外耳炎にならないために

外耳炎にならないために家でできるケアとして、綿棒でこまめに犬の耳を掃除している方がいらっしゃるかもしれません。
しかし綿棒での耳掃除は、耳垢を耳道の奥に押し込んでしまったり、耳道を傷つけてしまうことがあり、あまりおすすめできません。
外耳に汚れを見つけたら清潔な布などで拭き取ってあげると良いですね。
また汚れが普段より多い、耳が臭うなどの異常があれば動物病院に相談しましょう。

まとめ

外耳炎は発症すると犬にとって強い痒みや痛みを生じ、進行すると中耳炎を起こしたり、耳が変形し元には戻らなくなってしまいます。
内科治療で良くならない場合は、犬にとって苦痛な時間が続くことになります。
その場合は完治を目指し、外科治療という選択肢も検討しましょう。

当院では麻酔科を専門で担当する獣医師が麻酔管理を行っています。
「かかりつけの動物病院で麻酔が難しいと言われた」
「高齢で持病があるから外耳炎の手術をしたいけど麻酔が不安」
このような悩みをお持ちの飼い主様にも安心して麻酔下での手術を受けていただけます。
犬の外耳炎に関するお悩みをお持ちの飼い主様は当院までご相談ください。