犬の認知症について|ご家庭でもできる認知症のケア方法
犬にも人間と同様に認知症があるのをご存知ですか?
高齢の犬がいつもと違う行動をとっているのは、実は認知症の兆候かもしれません。
今回は犬の認知症について、その症状や飼い主としてどのようにケアすればいいかを解説します。

ぜひ最後までお読みいただき、知識を深めましょう。
犬の認知症とは?
犬の認知症(犬認知機能不全症候群)は、人間で言うアルツハイマー病に似た状態です。
加齢に伴い、脳の機能が低下し、記憶や学習能力、行動に変化が現れます。
犬の認知症は、特に10歳以上の高齢犬に多く見られます。
日本犬に多く発症しやすい傾向にあると言われていましたが、近年はトイプードルなどにも増えているため、犬種を問わず注意が必要です。


犬の認知症の主な症状
犬の認知症では
- 夜間の徘徊や吠え
- トイレの失敗
- 名前やコマンドへの反応が鈍くなる
- 食欲の低下
- 方向感覚の喪失
- 性格の変化
などの症状があらわれることがあります。
認知症は進行性の病気であるため、症状がどんどん悪化していき、最終的には寝たきりになってしまうことも少なくありません。
しかし、早い段階で対策を取ることで症状の進行を緩やかにすることが可能です。
認知症は高齢だから仕方ない?
高齢犬のご家族の方の中には、犬の行動に変化があらわれても、年齢のせいだと思ってしまう方も少なくありません。
しかし、犬の認知症は病気の一つです。
些細な行動の変化に気づき、早めに動物病院を受診することで、認知症に対するケアが可能です。
逆に高齢であることを理由に認知症だと決めつけてしまうこともあります。
認知症であらわれるような行動の変化には、他の病気が隠れている可能性もあります。



きちんと動物病院で診断を受けることが重要ですね。
犬の認知症に対するケア方法
では犬が認知症だと診断されたらどのようなケアを行なっていけばいいのでしょうか。
認知症では犬の生活の質(QOL)を保ちつつ、ご家族と犬が快適に暮らしていけるようなケアが必要です。
そのために必要なことは
- 生活環境を整える
- 適度な運動と刺激を与える
- 食事やサプリメントの工夫
- 薬の活用
などです。



それぞれ解説していきましょう。
生活環境を整える
犬の認知症では、犬が安心できる環境が大切です。
徘徊やトイレの失敗を防ぐためにも、犬の生活範囲を広くしすぎないように、トイレや餌の位置を工夫しましょう。
他にも、床をジョイントマットなどで滑りにくくすることで、怪我の防止や犬の安心感につながります。
適度な運動と刺激を与える
毎日の散歩や軽い遊びで、適度に体を動かすことが脳や筋肉の活性化につながります。
脳や筋肉の衰えは、認知症の進行につながるため、適度な刺激が大切です。
ブラッシングやスキンシップなどで、犬とコミュニケーションをとることも刺激につながります。
食事やサプリメントの工夫
認知症の進行を緩やかにするためにも、脳の健康をサポートする栄養素を含むフードやサプリメントを選びましょう。
ビタミンCなどの抗酸化作用を含む食材や、青魚に含まれるDHAが有効とされています。
フードやサプリメント選びに迷った場合は、獣医師にご相談ください。
薬の活用
犬の認知症そのものを治療する薬はありません。
しかし、症状を緩和するための薬を動物病院で処方してもらうことはできます。
抗不安薬や鎮静剤などを使用することで、犬の異常行動が軽減することがあります。
気になる症状がある時は、獣医師に相談してみましょう。
まとめ
犬の認知症は、人間でいうアルツハイマー病と似た病気です。
進行性の病気なので、完全に治ることはありません。
しかし、早期の適切なケアで症状の進行を緩やかにすることができます。
犬が高齢になって心配な症状があれば、迷わず獣医師に相談してください。
認知症のケアは、ご家族と犬が快適に過ごすために重要です。
当院では認知症の緩和ケアにも力を入れています。犬が認知症と診断されたけどどのように看病すればいいか分からない、少しでも犬が快適に過ごせるようにしたいというご家族の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
愛犬と充実した時間を過ごせるようサポートします。

