てんかん発作を見たことのある飼い主様は、その発作の大きさに驚かれた方も多いかと思います。
意識が無くなった我が子の痙攣は見るのも辛いでしょう。
何度か経験すると多少は慣れるものの、やはり見ているだけしかできない飼い主様もいらっしゃるかと思います。
今回はてんかん発作が起こる犬のケアについて解説します。
「発作中は何をすればいいの?」
「逆にしてはいけないことは?」
「発作をなるべく出にくくするためには?」
などの疑問を解決していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、日常のケアに役立ててください。
てんかん発作とは
まずはてんかん発作について簡単に解説します。
てんかん発作は24時間以上開いて、少なくとも2回以上の発作が認められる脳の病気とされています。
つまり1回の発作や、脳の病気以外で起こる発作はてんかん発作とは言いません。
まず大事なこと
てんかんを持っている犬にとって大事なことは、発作をなるべく起こさないことです。
起こさないようにするためには、原因を知ることと正しい治療を行うことが大切です。
てんかん発作が起きると
- 脳細胞の死滅
- 脳の損傷
- 発作強度の増加
- 犬の肉体的・精神的な疲労
などが起こります。
脳細胞が死滅すると、他の犬よりも認知機能が低下しやすくなります。
重篤なてんかん発作は、脳の損傷など取り返しがつかないことになりかねません。
発作中に亡くなってしまう子の中には、この脳の損傷が原因で亡くなることがあります。
また、てんかん発作が起こると犬は肉体的にも精神的にも大きな疲れが伴います。
てんかん発作を起こさないためには、原因に合った治療をすることにより、てんかん発作が極力起こらないようにしましょう。
発作が起こりやすくなる条件とは?
てんかん発作の中には、あるきっかけが原因で発作が起こることもあります。
人間でも、強いフラッシュや点滅が起こり、子供たちに発作が起きたという話もありますね。
犬にもこういった強い光がきっかけで発作を起こしてしまうことがあります。
その他にも
- 玄関のチャイム音
- ストレス
- 気圧の変動
などで発作が起こる犬もいます。
発作が起こる前に何があったかを考えると、発作のきっかけが分かるかもしれません。
発作が起きた時にすること・しないこと
しっかりとした治療をしていても、てんかん発作が起こるときもあります。
実際、発作が起きた時にすべきことは何でしょうか?
以下にまとめてみました。
発作が起きた時にすること
- 犬の周りにある危険なものは避ける
- 動画を撮る
- 時間を測る
- 発作が起きたきっかけを遠ざける
などがあります。
発作中は犬も意識がなく、そこら中のものにぶつかってしまう犬もいます。
家具の端をクッションやマットで保護したり、尖ったものは撤去しましょう。
てんかん発作中は獣医師に見せるためや、経過を正確に把握するために動画を撮ることもおすすめです。
てんかん発作が何分間起きているのかを把握することも非常に大切です。
5分以上発作が続く場合は重責発作という重篤な発作の可能性があります。
愛犬の発作中は飼い主様も気が気ではなく、長く感じてしまうものです。
正確な時間が分かると、獣医師にもどういう発作であったのか伝わりやすいです。
てんかん発作が起きた時にしないこと
てんかん発作中にしてはいけないことには
- 手を出す
- 体をゆする
- 飲食をさせる
などがあります。
発作中は意識がないため訳もわからず口の近くにあるものを噛んでしまう場合もあります。
飼い主様が愛犬を抱っこしようとすると、噛まれる危険性があるので少し離れたところで静かに見守りましょう。
体をゆする行為は新たな刺激となり、発作が長引く可能性がありますね。
発作にもさまざまなパターンがあり、全身を激しく痙攣させる発作から部分的にピクピクしている発作まで、その様式はさまざまです。
部分的な発作の時は全身の痙攣に比べて分かりづらく「おやつやお水で落ち着くかな?」と思い、何か試したいという気持ちも出てくると思います。
しかし、ぼーっとしている時の飲食は誤嚥する可能性が高いので注意が必要です。
緊急事態の判断
てんかん発作の中にも緊急事態があります。
大体の発作は2〜3分ほどで終わり、24時間以内にもう一度起こることは少ないと言われています。
しかし24時間以内に、2回以上の発作が起こることがあり、それを群発発作と言います。
一回の発作が5分以上続く時や1回目の発作が完全に終わる前にまた発作が始まることを重積発作と言います。
この群発発作と重積発作はてんかん発作の中でも緊急事態です。
持っている方はお手持ちの緊急薬を使用し、すぐに病院へ連絡を取りましょう。
まとめ
てんかん発作を持つ犬の飼い主様は、
「またいつ発作が出るんだろう…」
と不安な日々を送られている方も多いでしょう。
犬の生活範囲の全ての家具の角を保護してもいいですし、ケージに入っている犬であれば、網を毛布などで覆ってもいいかもしれません。
発作が5分以上続きそうな場合や、1日に2回以上発作が起こる場合は緊急薬をためらいなく使用し日常の抗てんかん薬の変更や追加を検討しましょう。
犬のてんかん発作は、日常生活に明らかな異常や生活の質の低下がなく、6ヶ月に1回以下の頻度で発作のコントロールをすることを目標としています。
愛犬のてんかん発作でお悩みの方はいつでもご相談いただき、愛犬の健康寿命や生活の質を守るためのケアを一緒に考えましょう。