犬猫の食道狭窄|食道バルーン拡張術の実際の様子を写真で解説

ご飯を食べるトイプードル

「ごはんを食べた直後に未消化のまま吐き戻してしまう」
「固形物だけうまく飲み込めないように見える」
「食道が狭いと言われたけれど、どんな治療をするの?」
このようなご相談は、決して少なくありません。
犬や猫にみられる食道狭窄は、食道の一部が細くなり、食べ物が通りにくくなる病気です。
吐出を繰り返すと体重が減少し、誤嚥性肺炎につながることもあります。
そのため、早期の診断と適切な治療が重要です。

この記事では、犬猫の食道狭窄について、症状や治療方法、とくに食道バルーン拡張術の実際の様子を交えて解説します。

ぜひ最後までお読みいただき、愛犬・愛猫の吐出症状に早く気づくための参考にしてください。

目次

犬猫の食道狭窄とは?

食道狭窄とは、何らかの原因で食道の一部が物理的に狭くなってしまった状態を指します。
食道狭窄は犬と猫のどちらにも発症する可能性のある病気です。
多くの場合、重度の食道炎がきっかけとなり、食道狭窄が起こります。
炎症が続くことで、食道が硬く細くなることが原因です。
食道炎だけではなく、

  • 異物の停滞
  • 逆流
  • 薬剤刺激

などが背景にあることも。
食道が狭くなると、食べ物が胃へスムーズに送られなくなることにより、さまざまな症状があらわれます。

犬猫の食道狭窄の症状は?

食道狭窄では、食べ物が通過できないことによる症状がみられます。

  • 未消化のままの吐出
  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 誤嚥による咳・発熱

吐出は嘔吐とは異なり、腹部の強い収縮を伴わずに食べたものがそのまま出てくるのが特徴です。
「最近よく吐くな」と感じたとき、その吐き方がどういうものかを観察しておきましょう。
吐出が続く場合には、早めに動物病院を受診することがおすすめです。

犬猫の食道狭窄の診断は?

食道狭窄は、画像検査と内視鏡検査によって診断されます。

エックス線検査(食道造影)

造影剤を用いたレントゲン検査では、狭くなっている部位とその前方の食道拡張が確認できます。
食道が狭くなっている部分の手前で食べ物や造影剤が停滞している像が特徴です。

内視鏡検査

内視鏡検査では、食道内部を直接観察できます。
狭くなっている部分の

  • 位置
  • 長さ
  • 粘膜の状態

を詳しく確認できるため、治療方針の決定に重要な検査です。

CT検査

CT検査では、食道周囲の構造や原因疾患をより詳細に評価できます。
レントゲン検査や内視鏡検査では判断が難しい場合に実施されます。

レントゲン検査:食道の狭窄とそれより前方での食道拡張

食道狭窄の造影レントゲン画像

内視鏡検査:食道の狭窄

食道狭窄している内視鏡画像

犬猫の食道狭窄の治療は?

食道狭窄の治療は、原因疾患の治療と狭窄そのものへの処置に分かれます。

原因疾患の治療

食道炎が背景にある場合には、まず炎症を抑える治療が行われます。
薬物治療とともに、流動食への切り替えなどで食道への刺激を減らすことで症状を抑えていきます。

食道バルーン拡張術

食道バルーン拡張術は、内視鏡を用いて狭窄部にバルーンカテーテルを挿入し、内側から広げる治療法です。
バルーンを適切な圧で拡張させることで、硬くなった部分を徐々に広げていくことが可能です。
拡張後は多くの場合で食道の通過性が改善します。
ただし、一度で拡張しきらないことがあるため、場合によっては複数回の処置が必要になることもあります。

食道バルーン拡張術の様子

食道狭窄を食道拡張バルーン拡張している内視鏡画像

食道バルーン拡張後の様子

食道狭窄に対してバルーン拡張した後の画像

胃瘻チューブ設置

狭窄が重度の場合や、食道をしばらく休ませる必要がある場合には、胃瘻チューブを設置することがあります。
胃瘻チューブを使用することで、口から食事を通さずに栄養を確保でき、食道への負担を軽減可能です。

犬猫の食道狭窄の治療のみとおしは?

食道狭窄の治療効果は狭窄の程度や範囲によって異なります。
軽度の食道狭窄であれば、食道炎の治療と食事管理だけで改善することもあります。

一方で、広範囲にわたる狭窄では、食道バルーン拡張術が複数回必要な場合も。
重症例では、胃瘻チューブを併用しながら時間をかけて改善を目指すことが重要です。
食道が十分に広がれば、チューブは取り外すことが可能です。

緩和ケアという視点

食道狭窄は、一度の治療で完治するとは限りません。
一度治っても再発する場合もあります。
再発を繰り返す場合には、生活の質を守る視点が重要です。

ご自宅での

  • 体位管理
  • 食事形態の調整
  • 誤嚥予防

などは、犬猫の負担を減らす大切なケアです。

当院では、食道狭窄の長期管理や、重症例に対する在宅サポートにも対応しています。
通院が難しい場合や、胃瘻チューブ管理に不安がある場合には、往診による緩和ケアという選択肢もあります。

まとめ

犬猫の食道狭窄は、吐出を繰り返す原因となる重要な疾患です。
早期診断と適切な治療によって改善が期待できます。
食道バルーン拡張術は有効な治療法の一つですが、症例によっては複数回の処置や長期管理が必要です。当院では、治療から在宅でのサポートまで一貫して対応し、その子にとって最も負担の少ない方法を一緒に考えていきます。
「吐出が続いている」「ごはんがうまく飲み込めない」そのような変化がみられたら、早めにご相談ください。

在宅緩和ケア専門動物病院「犬と猫の緩和ケア」
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