猫のおしっこに関する病気を総称して猫下部尿路疾患(FLUTD)と呼びます。その症状として、血尿、頻尿、排尿時に痛がる、トイレ以外での排尿(不適切排尿)がみられます。猫下部尿路疾患(FLUTD)の中には、炎症性疾患や尿石症、尿道詮子など様々な病状が含まれますが、その約6割は原因の特定できない〝特発性膀胱炎(FIC)〟が関与しているといわれています。
ヨーロッパにおけるFLUTDの原因 Geber et al., J Small Anim Pract (2005)
目次
猫の特発性膀胱炎(FIC)とは?
猫の下部尿路疾患(FLUTD)の症状があり、その原因疾患が特定できないものを猫の特発性膀胱炎(FIC)と呼びます。
猫の特発性膀胱炎(FIC)の特徴は?
- 若〜中齢の猫に多い
- オス、メスの発生率の差はない
- 品種間での発生率の差はない
- ほとんどの猫が治療の有無に関わらず4〜7日で自然に治る
- 1年以内に半数が再発
- ストレスが関係している
猫の特発性膀胱炎(FIC)の原因は?
- 大きな原因としてストレスが関与していると言われている
- 副腎の異常、交感神経系の異常、膀胱壁の異常が原因などとの説もあるが、まだまだ分かっていないことが多い
猫の特発性膀胱炎(FIC)の診断は?
- 除外診断
・尿路結石尿道詮子、細菌性膀胱炎などの病気を除外
他の病気がないと診断することで、最終的に〝特発性膀胱炎〟と仮診断します。
猫の特発性膀胱炎(FIC)の治療は?
- ストレス軽減&環境改善
・トイレを大きく&キレイにする
・隠れる場所・遊び場所を作る など - 食餌の変更
・Wet Foodに変更(水分摂取量を増やす)
・療法食(猫の下部尿路疾患用フード) - 猫フェイシャル・フェロモン
・『フェリウェイ』など - 薬による治療
・三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、クロミプラミン)
・プレドニゾロン
・グリコサミノグリカン
・鎮痛剤
猫の特発性膀胱炎(FIC)の治療のみとおしは?
数日で症状が治ることが多いです。しかし、ほとんどの場合に再発を繰り返します。
バッチリと完治させることは難しいです。