犬猫の血液検査Ca(カルシウム)|腎臓病の指標について獣医師が解説

CA カルシウム

悪性腫瘍がある場合にCa(カルシウム)が高くなることがあります。
その他にも色々な病気でCa(カルシウム)が高くなったり、低くなったりする場合があるのでメモしておきます。

目次

犬猫のCa(カルシウム)とは?

Ca(カルシウム)とは、骨や歯の成分、神経の伝導、筋肉の収縮、血液の凝固などの働きをしている電解質(ミネラル)です。体内のCa(カルシウム)の99%は骨の中に含まれており、残りの1%は体液(血液を含む)の中にあります。Ca(カルシウム)の代謝の調節には副甲状腺ホルモン(パラソルモン)、カルシトニン、ビダミンDの3種類のホルモンが主に関与しています。腎臓にて過剰なCa(カルシウム)が尿中へ排泄されます。

Ca(カルシウム)の調節に関わるホルモン
  • 副甲状腺ホルモン(パラソルモン)
    血液中のCa(カルシウム)濃度を上げる働き
    👉骨からCa(カルシウム)の吸収を促す
    👉腸管からのCa(カルシウム)吸収を促す
  • カルシトニン
    血液中のカルシウム濃度を下げる働き
    👉骨からのCa(カルシウム)吸収を抑制する
    👉腎臓でCa(カルシウム)、P(リン)の排泄を促す
  • ビダミンD
    血液中のCa(カルシウム)濃度を上げる働き
    👉腸管からのCa(カルシウム)吸収を促す
    👉骨からCa(カルシウム)とP(リン)を遊離させる

犬猫のCa(カルシウム) 正常値は?

  • 犬:8〜12mg/dl
  • 猫:8〜12mg/dl

それぞれの病院の機械や外注先の検査機関によって、数値の基準は若干異なります。

犬猫のCa(カルシウム)高くなる場合は?

犬猫のCa(カルシウム)が低くなる場合は?

  • 急性膵炎
  • 腎不全
    ・急性腎不全
    ・慢性腎不全
  • 低蛋白血症
  • 腸管吸収不良
  • 栄養性二次性上皮小体亢進症
  • 原発性上皮機能低下症
  • 産褥テタニー
  • 腫瘍崩壊症候群
  • アーチファクト(検査上のエラー)
    ・溶血
    ・EDTA処理した血液
  • 薬剤
    ・フロセミド  など
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