
犬の病気が進行したり、高齢になったりすると、自力でおしっこを出すことが難しくなる段階が訪れることがあります。
「トイレで踏ん張っているのに、ほとんど出ていない」
「病院で圧迫排尿が必要と言われたけれど、家でできるのか不安」
「失禁が増えて、どう対応したらいいかわからない」
このような悩みを抱えながら、毎日のケアに向き合っている飼い主様も多いのではないでしょうか。
排尿ケアはご家庭でも行うことが可能です。
ただし、正しい方法を知らずに行うと犬に負担をかけてしまうことがあります。
排尿管理は、単なるトイレの問題ではなく、犬の生活の質(QOL)を大きく左右する重要な介助ケアです。
この記事では、自力排尿が難しくなった犬に対して、ご家庭で行う排尿管理の考え方について解説します。

ぜひ最後までお読みいただき、愛犬との生活を少しでも安心して続けるための参考にしてください。
なぜ犬に排尿「介助」が必要になるのか
犬で排尿介助が必要になる背景には、次のような状態があります。
- 脊髄疾患(椎間板ヘルニアなど)
- 後肢の麻痺や運動障害
- 腫瘍による神経や尿路の圧迫
- 終末期疾患
- 高齢による排尿反射の低下
上記のような状態になると、膀胱に尿が溜まっても、自分の力だけでは十分に排出できなくなることがあります。
尿が膀胱に残ったままになると、膀胱炎や尿路感染、腎臓への負担が生じ、全身状態の悪化につながることもあるため注意が必要です。
そのため、排尿介助は「おしっこを出してあげる」だけでなく、合併症を防ぎ、苦痛を減らすための医療的ケアといえます。
排尿介助が必要な犬で見られるサイン
排尿管理が必要になってきた犬では、次のような変化がみられることがあります。
- 長時間踏ん張ってもほとんど出ない
- 少量ずつしか排尿できない
- お腹が張っている
- 触られるのを嫌がる
- 失禁が増える
これらのサインがみられる場合、自力排尿が限界に近づいている可能性があります。
早めに獣医師に相談し、排尿介助の必要性を評価することが大切です。
在宅で行う排尿介助の主な方法
排尿介助の方法は、犬の状態や病気の進行度によって異なります。
ここでは、在宅ケアで中心となる方法を紹介します。
圧迫排尿
圧迫排尿とは、膀胱の上から手でやさしく圧をかけて、尿を外に出す方法です。
自力排尿がほとんどできない犬では、1日に数回の圧迫排尿が必要になることがあります。
圧迫排尿は、方法を誤ると
- 膀胱損傷
- 尿道損傷
につながる危険があります。
必ず動物病院で実際に指導を受け、正しい位置・力加減・回数を確認してから行うようにしましょう。
カテーテルによる排尿管理
カテーテル管理とは、尿道から細い管(カテーテル)を膀胱まで挿入し、尿を体の外に排出する方法です。
自力でまったく排尿できない場合や、尿道閉塞を起こしている場合に、一時的な処置として行われます。
カテーテル管理は感染リスクが高く、在宅での管理には慎重な判断が必要です。
在宅でカテーテル管理を行うかどうかは、
- 全身状態
- 感染リスク
- ご家族の介護負担
を考慮したうえで、獣医師と相談して決定していきましょう。
オムツ管理
自力排尿が一部可能でも、失禁が続く犬ではオムツ管理が必要になることがあります。
- 吸収力の高いオムツを使用する
- こまめに交換する
- 皮膚を清潔に保つ
- 保湿ケアを行う
尿で皮膚が濡れた状態を放置すると、皮膚炎や褥瘡を引き起こす原因になります。
排尿介助と同時に、皮膚ケアも欠かせません。


排尿介助は「ご家族だけで抱え込まないこと」が大切
排尿介助は、毎日続けるケアです。
「本当に正しくできているのかわからない」
「犬に痛い思いをさせていないか不安」
このように感じるのは、飼い主様として自然な気持ちです。
排尿管理は、犬の状態に応じて方法を調整し続ける必要があるケアです。
一度教わった方法が、ずっと最適とは限りません。



定期的に獣医師と相談しながら排尿ケアを行っていきましょう。


まとめ
排尿管理が必要になった犬にとって、圧迫排尿やオムツ管理、カテーテル管理は、日常生活を支える大切な介助ケアです。
排尿を人の手で助けることは、感染や腎臓への負担を防ぎ、苦痛を減らすための重要な医療的ケアでもあります。
一方で、排尿介助は毎日続くケアであり、ご家族だけで抱え込むには大きな負担になることもあります。
当院では、通院が難しい犬や慢性的に排尿介助が必要な犬に対して、往診による緩和ケアを行っています。
「自宅での排尿介助に不安がある」「今の方法でよいのか確認したい」そのようなときは、どうぞ一度ご相談ください。



ご家族と愛犬が安心して過ごせるよう、私たちが寄り添いながらサポートいたします。













