犬の潜在精巣|精巣が一つしかない時の対処方法について獣医師が解説

潜在精巣(陰睾)
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犬の潜在精巣とは?

潜在精巣とは精巣が陰嚢内にない状態をいいます。停留精巣、隠睾などとも呼ばれます。精巣は胎児期にはお腹の中にありますが、成長とともに精巣は移動して生後約1〜3ヶ月頃には陰嚢内に降りてきます。 生後半年過ぎても、精巣がお腹の中や下腹部の皮下に留まってしまった場合に『潜在精巣』と呼ばれます。

潜在精巣の原因は?

  • 男性ホルモンの不足
  • 解剖学的異常

潜在精巣を発症しやすい犬種は?

  • トイ犬種
  • ミニチュア犬種

どんな犬種でも発生します。

潜在精巣の症状は?

  • ほとんどの場合は無症状。
  • 潜在精巣は精子を作ることができないため、両方とも潜在精巣の場合には繁殖能力がない。
  • 将来的に精巣腫瘍になる可能性が高くなる。

潜在精巣の診断は?

  • 触診
    ・陰嚢内に左右2つの精巣があるか確認
    ・下腹部の皮膚を触って、皮下に潜在精巣があるか確認
  • レントゲン検査
    ・お腹の中に精巣があるか、腫瘍化していないか確認
  • エコー検査
    ・お腹の中に精巣があるか、腫瘍化していないか確認

片側の潜在精巣:陰嚢内に精巣が1つだけ

片側の潜在精巣

エコー検査:お腹の中に精巣を認める

腹腔内潜在精巣のエコー検査画像

潜在精巣の治療は?

  • 手術により摘出

摘出した精巣

実際に摘出した腹腔内潜在精巣

潜在精巣の治療のみとおしは?

  • 手術により潜在精巣を摘出すれば将来的な精巣腫瘍の発生を予防出来る。
  • 片方だけの潜在精巣では繁殖能力がある。ただし、潜在精巣は子供に遺伝する可能性があるため、基本的には繁殖は推奨されない。
在宅緩和ケア専門動物病院「犬と猫の緩和ケア」
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